この記事では、船釣りのマナーを紹介!
初めて船釣りに挑戦する人でも安心して楽しめるように、乗船前から釣り終了後までのマナーと注意点を詳しく解説します。
船釣りでは限られたスペースで複数人が乗船するため、陸からの釣りとは異なる独自のマナーが求められます。釣果を伸ばすだけでなく、船長や同船者、海への配慮も欠かせません。
初めての船釣りに挑戦する人は、この記事をチェックしてみましょう。

この記事を書いた人
F!ND編集部_コウイカ
現役マリーナスタッフであり、10年以上のマリーナ勤務歴がある。自身も釣りやが好きで、最近はジギングやエギングにハマっている。
乗船前の準備と注意点
船釣りは海上という特殊な環境で行うため、陸釣りよりも多くの事前準備が必要です。
以下のポイントを押さえておくことで、当日のトラブルが防げて、船長や同船者に迷惑をかけることなく、安全に船釣りを楽しめます。
予約・集合のマナー
船釣りでは定員管理や天候判断が重要です。
特に遊漁船(釣りやレジャーなどの遊びを目的として乗客を乗せる船)を利用する場合は、急に人数変更やキャンセルをすると船長や他の乗船者に迷惑をかけてしまいます。
体調不良や予定変更がある場合は、必ず前日までに連絡を入れ、当日のキャンセルはできるだけ避けることが最低限のマナーです。

もし、当日急に体調が悪くなったり、どうしても行けない理由ができてしまったりした場合は、すぐに船長にキャンセルの連絡をしましょう。
また、船釣りは天候や潮汐(月や太陽の引力によって、海面が上下に動く現象)、潮流によって釣果が大きく変わります。出航時刻がズレると自分だけでなく、同船者の釣果にも悪影響を与えてしまうので、遅刻はしないように心がけましょう。
遊漁船では出船30分~1時間前集合が基本です。乗船名簿の記入や荷物の積み込み、船長からの安全説明に余裕を持つためにも、早めに現地に到着しておきましょう。
何時ごろ出航するのですか?
引用元:愛知師崎石川丸|よくある質問|何時ごろ出航するのですか?
季節によって変わります。4月は朝6時出船、5月〜8月は朝5時30分出船,9月〜10月は朝6時出船、11月〜3月は朝7時出船となります。
出船の1時間前までに船着き場へお越しください。
季節によっても出航時間は変わるため、事前に確認しておくことが重要です。
服装・持ち物

海上は陸よりも気温が下がり、水しぶきで体が冷えやすくなります。特に冬の海は冷たい風が強く吹きやすいため、防寒対策を万全にしておくことが大切です。
防寒着は釣りの邪魔にならないように、軽くて動きやすいものを選びましょう。また、手足が冷えやすい人は、釣り用のグローブや靴下の重ね履きなどがおすすめです。
釣り用グローブは、親指・人差し指・中指が出るタイプを選ぶと、仕掛けの付け替えや魚を針から外す際に楽に作業できます。
おすすめ釣り用グローブ
また、船に乗る場合には、ライフジャケットの着用が義務化されています。
国土交通省では関係法令を改正し、平成30年2月からすべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用を義務化しました。
引用元:国土交通省|海事:ライフジャケットの着用義務拡大
ライフジャケットは「桜マーク」がついた国交省認定品を必ず着用しましょう。
桜マークは、国土交通省が安全基準を満たしていることを証明するマークであり、浮力性能や耐久性が公的に認められた製品にのみ表示されています。

万一の落水時にも正しい浮力を確保できるため、命を守るために不可欠です。
おすすめライフジャケット
また、滑り止め付きシューズを履くことで滑りやすい船上での転倒や骨折などの事故を防げます。
滑り止め付きシューズにはブーツタイプや通気性や履きやすさを重視したマリンレジャータイプ、防寒用のものなど、さまざまな種類があります。

季節に応じて最適なものを選んでくださいね。
おすすめ滑り止め付きシューズ
乗船時の基本ルール

限られたスペースで複数人が行動する船上では、乗船時から他人への配慮が必要です。
移動方法や荷物の置き方に気をつけることで事故を防ぎ、快適な釣り時間を確保できます。
以下で紹介する基本ルールを覚えて、乗船時に同船者に迷惑をかけないようにしましょう。
乗船手順
- 船長やスタッフの指示を聞く
出港準備中の船は揺れやすく危険です。案内があるまでは岸壁で待機し、勝手に乗り込まないようにしましょう。 - 順番に一人ずつ乗り込む
焦らず、一人ずつ船の中央付近からバランスを取りながら乗り込みます。両手が使えるよう荷物は肩掛けにするか、先に船へ渡しておくと安全です。 - 荷物を指定の位置にまとめる
デッキの動線をふさがないよう、クーラーボックスやバッカンなどは船長の指定位置にまとめて置きます。通路や足元には絶対に置かないようにしましょう。 - 釣り座を確認して着席する
船長の指示で釣り座が決まります。場所取りや勝手な移動はトラブルのもとです。安全のため、出港中は着席して移動を控えましょう。
乗船の際は、荷物を一列にまとめて積み込み、デッキ上の通路を塞がないように配置することがマナーです。

特に竿や仕掛けは尖った部分が多く、無造作に置くと他人がつまずく危険があります。
釣り座や荷物の位置は船長が安全を考慮して指示するため、独自判断で席を移動するのは避け、必ず指示に従いましょう。
船内での移動
船が走行中や波が高い時は予想以上に揺れるため、船内での移動は船がポイントに到着し、船の動きがある程度止まってからにしましょう。
移動する際は、片手で手すりやロープを握りながらが安全です。
足元に竿やクーラーボックスを散らかすと、転倒やライン絡みの原因になるため、使っていない竿はロッドホルダーに立てておき、荷物はできるだけまとめておきましょう。

波の状態によっては急に揺れることがあります。
船釣り中に守るべきマナー
船釣り中は自分の行動が他の釣果や安全に直結します。
ライン絡みを避ける配慮や、周囲が気持ちよく過ごせる振る舞いを心がけることが大切です。特に船釣り未経験の人は、以下の内容を知っておくと、本番でもスムーズに対応できます。
仕掛けの投入
仕掛けを投入する際は、船長の指示や潮の流れに合わせて方向を統一することが大切です。無計画に投げ入れると隣の仕掛けと絡まり、せっかくのチャンスを台無しにします。
回収や投入のタイミングは船長の指示に従い、周囲をよく確認してから行いましょう。他の人が巻き上げている時は一呼吸おいてから仕掛けを落とすと、同船者から「気をつけてくれている」と好感を持ってもらえます。

トラブルを防ぎ、気持ちよく釣りをするために、同船者との声のかけ合いを意識しましょう。
船上での振る舞い
船上では大声での会話や過度な飲酒は厳禁です。周囲の人たちの会話や船長の指示が聞き取りづらくなり、事故の原因になります。
釣れた後はテンションが上がって声のトーンが大きくなりがちですが、周りの人や安全への配慮を忘れないようにしましょう。
また、釣り糸や仕掛けを海に捨てるのは環境破壊に直結します。ゴミは必ず袋に入れて陸に持ち帰り、自宅で処分する習慣を徹底しましょう。

小さな配慮が海の資源を守ることにつながりますよ。
釣った魚の扱いと持ち帰り方

釣った魚は鮮度を保って持ち帰ることで、家でおいしく味わえます。適切な処理を行うことは釣り人としてのマナーでもあります。
魚の処理
魚は釣り上げてからの時間が鮮度を左右します。活け締めや血抜きを行うことで、味が格段に向上するだけでなく、魚が苦しまずに済むという倫理的配慮にもつながります。
初めての場合は、船長や経験者に方法を教わりながら安全に処理しましょう。血抜き後は海水を入れたバケツで冷やしておくと鮮度が保たれます。
保管方法
処理した魚はクーラーボックスで氷冷しますが、直接氷に触れると身が水っぽくなるため、タオルやビニールで魚を包んでから入れると良いでしょう。
帰港後は釣果を公平に分配し、船長へのお礼や港の清掃に協力することも大切なマナーです。感謝の言葉を添えて精算することで次回も快く迎えてもらえます。
初心者が注意したい船釣りでのトラブル防止策
初めて船釣りをする人は、船酔いや急な天候変化など予期せぬトラブルへの備えが必要です。特に、船酔いは個人差があるため自分自身の体質や乗り物酔いのしやすさなどを考慮しなければなりません。
そこでここでは、船酔い対策と緊急時の対応について解説をします。
船酔い対策
船酔いは経験者でも避けにくいものですが、事前の準備で大きく軽減できます。出船前は脂っこい食事やアルコールを控え、消化の良い軽食を摂るのが理想です。
睡眠不足の場合も、船酔いや体調を崩しやすいので、船釣りの前日は睡眠時間をしっかりと確保しておきましょう。
乗船中は水平線など遠くの景色を見ることで三半規管が安定し、酔いが和らぎます。船首(一番前)は揺れが大きく、船尾(一番後ろ)は、エンジンの振動や排気の匂いなどで酔いやすいので、船の中央で釣りをすることも船酔い対策のひとつです。


気分が悪くなったら無理をせず船長に相談して休ませてもらいましょう。
緊急時の対応
落水や怪我などの緊急事態では、自己判断せず即座に船長へ報告することが命を守ります。携帯電話は防水ケースに入れておき、海上保安庁への緊急連絡にも備えましょう。
※ 海上保安庁への緊急通報番号:118
海上での 事故・遭難・不審船・油の流出など に関する通報専用番号です。全国どこからでも、携帯電話・無線・公衆電話から通話料無料でつながります。
緊急時には、すみやかに118番に連絡を入れて落ち着いて状況を説明しましょう。
海難発生時など救助要請が必要な際には、「いつ」、「どこで」、「なにがあった」など簡潔に落ち着いて通報してください。
引用元:海上保安庁|海の「事件・事故」は118番
自分の命を守るためにも、まずはライフジャケットを正しく着用することが重要です。また、仲間と互いに異変を確認し合うことで、万一の事故も最小限に抑えられます。
船長や同船者との良好な関係を築くコツ

船釣りでは、船長との信頼関係と同船者との協調が釣果にも大きく影響します。出港時や帰港時には「よろしくお願いします」「ありがとうございました」と挨拶を欠かさないことが雰囲気を良くする第一歩です。
釣り中も、船長からの指示やアドバイスには素直に従い、トラブル時には自分で解決しようとせず、船長に相談しましょう。また、同船者と釣果の差が出ても競い合うより「よく釣れてますね」と声をかけ合うことで雰囲気が良くなります。
同船者と仕掛けが絡んだときはお互いに謝罪と感謝を伝え、片付けの際もほかの乗船者の荷物やデッキの清掃に協力する姿勢が大切です。

思いやりの一言と小さな気配りが、次の釣行をより楽しい時間にしてくれます。
船釣りでのマナーを守って船長や同船者との釣りを楽しもう
船釣りは大自然の中で大物を狙える魅力がありますが、限られた船上空間だからこそマナーが釣果と安全に直結します。予約から乗船、釣り中、帰港後までのひとつひとつの行動が、同船者への配慮や海の環境保護につながることを意識することが大切です。
また、船は波や風の影響を受けて揺れることがよくあります。落水の危険がつきものであるため、ライフジャケットの着用や船上での移動、荷物の置き方などにも注意しなければなりません。
船上でのマナーを守り、船長や同乗者への気遣いをしっかりとしたうえで、船釣りを楽しんでくださいね。
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