※本記事は2026年6月時点の報道をもとに作成しています。状況は随時変化する可能性があります。最新情報は各報道機関の続報をご確認ください。
以前の記事(スターバックス日本法人はなぜ「黒船」から「日本のお気に入り」へ進化したのか)では、1996年の日本上陸から「黒船」が「日本のお気に入り」へ進化した30年の物語をお伝えしました。
その日本事業が今、売却される可能性が浮上しています。
何が起きたのか
2026年6月9日(米国時間)、米ブルームバーグ通信が「スターバックスは日本事業の株式売却を含む複数の選択肢を検討しており、投資銀行と初期段階の協議を行っている」と報じました。日本経済新聞・時事通信も後追いで確報しています。
売却額は4,000億〜5,000億円規模に達する可能性があり、日本事業単体での新規株式公開(IPO=株式市場への再上場)も選択肢に含まれているとされています。
ただし重要な点として、売却はまだ最終決定ではなく、あくまで初期段階の協議です。米スターバックス本社は「臆測にはコメントしない」とし報道を否定せず、スターバックスコーヒージャパンは「弊社の立場で回答できるものではない」としています。
「不振だから売る」ではない——逆説的な理由

驚くのは、日本事業が好調なまま売却検討の俎上に載っていることです。
2025年9月期のスターバックスコーヒージャパンの売上高は3,401億円。前期比5%増と過去最高を記録しました。店舗数は約2,100店に達し、そのうち9割を直営で展開。出店ペースも落ちていません。米スターバックスのCEOも2026年1〜3月期の日本市場の業績を「素晴らしい内容だった」と高く評価しています。
ではなぜ、好調な事業を手放そうとしているのか。
米スターバックス本体の業績が苦しいからです。2024年9月期の純利益は37.6億ドルでしたが、2025年9月期は18.6億ドルへと急落しました。過度な値上げによる客離れ、モバイルオーダー偏重による店内体験の劣化といった構造的な問題への対処に追われた1年でした。
つまり今回の売却検討は「日本が失敗したから」ではなく、その逆です。業績が好調なうちに日本事業の価値を現金化し、米国本体の立て直し資金に充てるという構図です。
端的に言えば「優等生の日本を売って、問題を抱えるアメリカを救う」という話です。
実は「世界の常識」に合わせる動きでもある
もう一つの背景として、スターバックスが近年進めている「アセットライト戦略(身軽な経営)」があります。
世界全体で見ると、スターバックスの約41,000店のうち直営店とライセンス店(現地パートナーへの運営委託)はほぼ半々です。本体はブランドと商品開発に集中し、各国の運営は現地パートナーに任せる流れが加速しています。
日本では店舗の9割を直営で展開しており、これは世界的にはむしろ例外的な体制でした。2026年4月には中国事業の60%株式を現地投資ファンドに売却したばかりで、今回の日本の検討はその流れの延長線上にあります。
日本のスタバはどうなるのか

利用者にとって最も気になるのは「通っているスタバが変わるのか」という点でしょう。
参考になるのは、すでに同様の売却が行われた国の事例です。韓国ではスターバックスの運営が新世界グループに移った後も、店舗数は約1,580店(2021年)から2,100店超(2025年末)へ増え続けています。運営体制の変更と店の体験は、別の話として進むのが実際のところです。
現時点では、スターバックスカードの残高・Star(ポイント)・eGift・店舗の運営はすべて日本法人のままで、変わるものはひとつもありません。
まとめ:「売られる」のではなく「価値を認められた結果」
整理するとこうなります。
- 何が起きているか:米スタバが日本事業の売却・IPOを含む選択肢を検討中(2026年6月時点)
- なぜか:米国本体の業績立て直しのため、好調な日本事業の価値を現金化する狙い
- 背景にある戦略:世界的に進む「アセットライト化」(運営を現地パートナーに委ねる)の流れ
- 日本の店舗はどうなるか:現時点で変更なし。韓国の前例では売却後も店舗は拡大
- 決定事項か:いいえ。まだ初期協議の段階で、正式発表はない
社内でも「ブランド力を維持しつつ現地化した最大の成功事例」と評価されている日本事業。その価値が高いからこそ、売却の俎上に載った——というのが今回の本質です。
日本のスタバが「誰のものになるのか」。続報が注目されます。
※本記事は情報提供を目的としたものです。売却の最終決定は報じられておらず、今後の状況によって内容が変化する可能性があります。特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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